現在位置:スタッフブログ
チャーチオルガンスタッフブログ
志村拓生先生インタビュー③
―オルガンという言葉の本当の意味についてお聞かせください。
Organという言葉は、はじめ「道具」という意味をもち、次の段階として「楽器全般」を指すようになりました。そして、特定の楽器としての「オルガン」の意味をもつようになった。そこで私が思うに、パイプオルガンだから、特別の価値があるのではない、パイプオルガンは「道具」にすぎない。日本ではパイプオルガンだから価値があると思われているが、そうではなく、人間が関わって演奏されることで、そのものの価値が生まれてくる。ですから、パイプオルガンでなければならないという考えは間違っている気がする。だから、電子オルガンでも、それが有効に弾かれれば大いに価値があるといえます。
オルガンは大きく、「教会で使われるもの、公のホールなどで用いられるもの」と「個人の所有、練習のためのオルガン」と2つに分けられる。バッハの時代、オルガニストはオルガンを練習するためには、教会に行かなければならなかった。当時は、モーターを入れれば音が鳴るわけではなく、鞴(ふいご)を踏む人にお金を払わなければならず、教会で練習することも、ままならなかった。それで、練習するときは、自宅で、ペダル(足鍵盤)付きチェンバロとか、ペダル付きクラヴィコードを備え付けて、オルガンの練習をしたのです。
教会にパイプオルガンが設置されていても、自宅で練習するときは、ペダル付き電子オルガンを用います。ここに、電子オルガンを所有する意味があります。電子オルガンは小型だけど、いろいろなスタイルで弾くことが出来ます。
―今回新たにStudio 350をご購入されましたが、如何ですか?
私は自宅で演奏会の練習や、教会での奏楽のため、また、生徒を教えるために有効に使わせてもらっていますが、前の楽器がカワイということもあり、今回、ヨハネスの3段鍵盤を選びました(スタジオ350)。私はオルガンを選ぶ際、3段鍵盤の楽器が必要だと思っています。
フランスのバロックや近代の音楽を弾こうとする時、2段鍵盤では弾けない。そして3段鍵盤の各々は、独自の要素を持っていなければいけないと思います。主鍵盤の働き、ポジティフとしての性格、将来スウェルに発展するレシとしての性格を持っていることが大きな意味があると思います。そういうわけで、私としてはヨハネスの3段鍵盤を使っています。
(続く)