カワイピアノ

チャーチオルガンスタッフブログ

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スウェルシャッターを手で?

先日パイプオルガンの演奏を聴きに行ってきたのですが、初めて見る光景に驚いてしまいました。それは、演奏中に助手が手でスウェルシャッターを閉じたのです。その後は演奏者がペダルを使ってまたシャッターを開けていたので、ペダルが故障していたわけではなかったのです。

普通は演奏者の足が忙しくてペダルを操作できない時は、助手がペダルを足で操作するようですが、このオルガンはそれほど大きくなく、スウェルシャッターは手が届く位置にあるので、横から足を伸ばしてペダルを操作するよりは手で閉める方が良いと考えたのでしょう。

(写真は実際のオルガンとは関係ありません。)


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ストップ選びのヒント(プリセットボタン)

オルガンをどのような音色で演奏するかは基本的には演奏者次第です。しかし、初めのうちはどのストップを選んでよいか分からないということもあるでしょう。

そういう時に便利なのがオルガンに内蔵されているデモ演奏です。デモ演奏の際には使っているオルガン様式とストップのランプが点灯するので、実際の音を聴きながら、どのストップを使うとそのような音になるのかを知ることが出来ます。

また、ヨハネスオルガンにはプリセットボタン(PP~FF、T、PLなど)が装備されています。これらのボタンにはストップの組合せがあらかじめプログラムされているので、これらのボタンを押したときに点灯するストップランプを見て、基本的なストップの組合せ方を学ぶことが出来ます。


上の写真のPPからFFまでは、音楽の強弱記号に対応しています。Tはトゥッティと言って、「全部」という意味ですが、必ずしも全てのストップがオンになるわけではありません。Tのボタンで選ばれていないストップは、基本的にはTでは使うべきではないストップなのです。理由は音色が濁る原因となるからです。PLはプレヌムあるいはオルガノ・プレノを表し、これも「全ストップ開放」という意味ですが、様々な音色のストップが登場する以前の古い時代の、主にプリンシパル系のストップでの全ストップ開放の音を再現します。

ちなみに一番右のROはリードオフと言って、オンになっているストップの内、リード系のストップだけをオフにするボタンです。


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ヨハネスのスタジオシリーズに新モデル登場!

ヨハネスで大人気のスタジオシリーズに新たなモデルが加わりました。Studio P-350(標準価格2,500,000円)とStudio P-150(標準価格2,000,000円)です。


                   Studio P-350 チェリー調

基本仕様は従来のStudio 350やStudio 150と同じです。違いはポジティフスタイルと呼ばれるキャビネットとドローノブを採用したことです。ドローノブは伝統的なパイプオルガンの雰囲気を醸し出しますが、これまでは高額モデルにしか採用されていませんでした。この価格帯では初めてです。

また、キャビネットの上方にもスピーカーを配置しましたので、高い位置に設置したパイプから音が聴こえてくるような感覚を味わうことが出来ます。

どちらのモデルも高さが168cmありますので、一般家庭に設置するとなかなかの存在感を発揮すると思いますが、小さな教会や結婚式場には正に理想的なモデルですね。

更に詳しい情報はこちらから。


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オルガンの足鍵盤

現在、パイプオルガンの足鍵盤の数は30鍵か32鍵が一般的です。

32鍵を必要とするオルガン曲が出てくるのは近代以降です。バッハを含め、ロマン派までのオルガン曲は30鍵で演奏可能です。

コンサートホールに設置されるオルガンは、どのような曲にも対応できるように32鍵が主流です。また、アメリカではAGOというオルガン演奏者の団体が決めた規格があって、これが32鍵と決まっています。



ヨハネスのオルガンは30鍵が標準ですが、Opus 350とEcclesia D-350は特注で32鍵にすることが出来ます。ロジャースのオルガンは32鍵が標準です。

ちなみに、ハモンドオルガンのようなポピュラー系のオルガンでは、フルスケールと呼ばれるものでも2オクターブの25鍵が普通です。

日本では足鍵盤の高さが緩やかにカーブを描いている凹型が好まれますが、ヨーロッパではフラット型が一般的です。従って日本でも教会等にヨーロッパ製のパイプオルガンが設置されている場合、足鍵盤はフラット型ということがあります。この練習用に敢えて自宅にフラット型の足鍵盤を希望される場合、ヨハネスではフラット型での生産も可能です。納品までに少しお時間を頂きますが、興味がある方はご相談ください。





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パイプオルガンのオーバーホールの様子を紹介します。

住居などの建築物と同じように、パイプオルガンもおよそ15年から25年毎にパイプや部品を外しての大掃除や大規模な修繕作業を行います。今回はこの作業を写真付きでご紹介したいと思います。このオルガンはポジティフオルガンとも呼ばれ、小型で移動可能なパイプオルガンです。合唱の伴奏や、バロック時代の通奏低音、各種楽器とのアンサンブル、もちろんソロ楽器としても活躍します。




オルガンの正面です。四角い箱型で下にはキャスターが付いていて移動可能です。




内部のパイプ群。鍵盤の先に放射状に延びているアクションはキーと弁を結ぶ梃子(てこ)です。5種類の音色(ストップ)があり、金管、木管合わせてパイプは全部で280本もありますよ!上から見て、丸い頭が金管、四角いのが木管です。




パイプを出した後の様子、中はほぼ空っぽになりました。




職人さん、パイプを1本1本クリーニング中!パイプは錫と鉛の合金、皆さんご存知のハンダとほぼ同じなので、金属とは言えとても柔らかいので慎重に作業します。




パイプを乗せる台(パイプボード)をひっくり返しました。風を通す穴が見えます。




白い長板がスライダー、この上に思いパイプボードがずっしりと乗っかります。

ここでちょっと解説。
上の写真で縦に走っているワイヤーのような線(鍵盤数と同じ本数)は、鍵盤と弁を繋ぐアクションです。鍵盤を押すと梃子(てこ)を介してワイヤーが引っ張られ下側にある弁を開け、風が流れる仕組みです。でも、いくら鍵盤を押しても、風が流れる各音色の穴が一致しないと音は出ません。写真に縦長の白い長板の5枚のスライダーが見えますね(5音色分)。このスライダーは下と上の分厚い板に挟まれています。これらの上下の板とスライダーは全く同じ位置に穴が開けられています。もうお分かりですね。これら上中下3か所の穴が一致すれば風の通り道が出来ます。手元にあるレバーを操作するとスライダーだけが左右に動いて、穴を一斉に一致させたり閉じたりできるのです。

パイプや各パーツのクリーニングや補修が終わると、いよいよ作業も終盤です。




パイプの音を整える整音の作業中、一番神経を使う作業です。パイプの真ん中あたりに横長の穴が開いていますね。ここに下からの風が当たり、パイプ内部と外部に風が分かれ、空気の波が出来て音が出ます。リコーダーの原理と同じです。パイプの長さが長いほど音は低くなります。




パイプを1本1本丁寧に戻します。パイプはとても柔らかいので気を使います。




最後の作業、もちろん調律です。

【ポジティフオルガンの仕様】
製作:ベッケラート社(独)
ストップ:5列(5音色)
パイプ:280本(5列x56鍵)
郡山市民文化センター所蔵

皆さん、いかがでしたか。普段は見られないオルガン内部。パイプオルガンは規模もデザインも様々、こんなに小さくても立派なパイプオルガンです。興味を持っていただけたら嬉しいです。

オルガンビルダー 西岡誠一


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