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チャーチオルガンスタッフブログ

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パイプオルガンのオーバーホールの様子を紹介します。

住居などの建築物と同じように、パイプオルガンもおよそ15年から25年毎にパイプや部品を外しての大掃除や大規模な修繕作業を行います。今回はこの作業を写真付きでご紹介したいと思います。このオルガンはポジティフオルガンとも呼ばれ、小型で移動可能なパイプオルガンです。合唱の伴奏や、バロック時代の通奏低音、各種楽器とのアンサンブル、もちろんソロ楽器としても活躍します。




オルガンの正面です。四角い箱型で下にはキャスターが付いていて移動可能です。




内部のパイプ群。鍵盤の先に放射状に延びているアクションはキーと弁を結ぶ梃子(てこ)です。5種類の音色(ストップ)があり、金管、木管合わせてパイプは全部で280本もありますよ!上から見て、丸い頭が金管、四角いのが木管です。




パイプを出した後の様子、中はほぼ空っぽになりました。




職人さん、パイプを1本1本クリーニング中!パイプは錫と鉛の合金、皆さんご存知のハンダとほぼ同じなので、金属とは言えとても柔らかいので慎重に作業します。




パイプを乗せる台(パイプボード)をひっくり返しました。風を通す穴が見えます。




白い長板がスライダー、この上に思いパイプボードがずっしりと乗っかります。

ここでちょっと解説。
上の写真で縦に走っているワイヤーのような線(鍵盤数と同じ本数)は、鍵盤と弁を繋ぐアクションです。鍵盤を押すと梃子(てこ)を介してワイヤーが引っ張られ下側にある弁を開け、風が流れる仕組みです。でも、いくら鍵盤を押しても、風が流れる各音色の穴が一致しないと音は出ません。写真に縦長の白い長板の5枚のスライダーが見えますね(5音色分)。このスライダーは下と上の分厚い板に挟まれています。これらの上下の板とスライダーは全く同じ位置に穴が開けられています。もうお分かりですね。これら上中下3か所の穴が一致すれば風の通り道が出来ます。手元にあるレバーを操作するとスライダーだけが左右に動いて、穴を一斉に一致させたり閉じたりできるのです。

パイプや各パーツのクリーニングや補修が終わると、いよいよ作業も終盤です。




パイプの音を整える整音の作業中、一番神経を使う作業です。パイプの真ん中あたりに横長の穴が開いていますね。ここに下からの風が当たり、パイプ内部と外部に風が分かれ、空気の波が出来て音が出ます。リコーダーの原理と同じです。パイプの長さが長いほど音は低くなります。




パイプを1本1本丁寧に戻します。パイプはとても柔らかいので気を使います。




最後の作業、もちろん調律です。

【ポジティフオルガンの仕様】
製作:ベッケラート社(独)
ストップ:5列(5音色)
パイプ:280本(5列x56鍵)
郡山市民文化センター所蔵

皆さん、いかがでしたか。普段は見られないオルガン内部。パイプオルガンは規模もデザインも様々、こんなに小さくても立派なパイプオルガンです。興味を持っていただけたら嬉しいです。

オルガンビルダー 西岡誠一


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