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チャーチオルガンスタッフブログ

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パイプオルガン移設工事の様子

パイプオルガンは息の長い楽器です。ヨーロッパには500年以上前に造られたオルガンが今も現役で鳴っている教会があります。そんな長寿命のパイプオルガンですから、建物の方が先に寿命を迎えることも多くあります。今回、紹介する教会は、今を時めく”虎ノ門ヒルズ”のお膝元、港区の日本基督教団芝教会です。再開発事業のため教会堂が新しく建て替えられることになり、オルガンは一時別の場所に保管されました。日本は欧米に比べるとパイプオルガンの歴史が浅いので、オルガン移設は珍しい出来事です。早速その工事の様子を紹介しましょう。


解体前の旧教会内部、バルコニーに設置されたパイプオルガン、これから解体作業です。



全パーツが買解体され段ボールに梱包されました。ケースの外枠は立てかけてあります。これらは新しい教会が完成するまでの期間、別の場所に大切に保管されます。



新しい教会が完成。いよいよ搬入作業です。奥にそびえているのは虎ノ門ヒルズです。



礼拝堂を養生し、全パーツが搬入。ご覧のように会堂内全体を使わせていただきました。



礼拝堂の前方左側、本体の布基礎の位置決め。後で修正できないのでここが肝心なところ。



布基礎に合わせて外枠を取り付けて行きます。木部の凹凸を合わせ固定します。



後部とサイドの枠が決まりました。これから中身が少しずつ組み立てられて行きます。



風を送るモーター(左下)と風が通るダクト(黒いホース)の一部が取り付けられました。



四角の重い風箱(奥が第2鍵盤用、手前が第1鍵盤用)の上にスライダー*を取り付けます。
*穴が開いている細長い板。上下の構造物に挟まれ、左右に動いて風の通り道を開閉させます。



コンソール部分の取り付け。画像は鍵盤の裏側です。キーの細かいアクションが見えます。



天井・コンソール・全フレーム組み込み完了。手前に積み上げたパイプはペダル用の木管です。



右のペダルキーから伸び90°曲がって奥のペダルの風箱に向かって地を這うアクション。



上の写真の外側から撮影。ペダルアクションを下から上部のペダルの風箱に繋げています。



手鍵盤用のアクション。薄くて細長い木製のトラッカーは手で簡単に折れてしまうほど繊細で軽く出来ています。そのおかげで鍵盤のタッチをパイプまで繊細に伝えることが可能です。



鍵盤から伸びてきたトラッカーの最終地点、パレット(空気弁)に辿り着きました。キーを押すとこの弁が開き、風が通ります。スライダーが開いていれば上に風が通りパイプが鳴ります。



奏者が手元でスライダーを開けるためのストップアクションを取り付けています。



ペダル鍵盤用の重たい低音部木管パイプ(Subbasso 16')を入れ込んでいます。



ペダル用パイプが収められました。次は手前のラックに手鍵盤用のパイプを入れて行きます。



パイプを取り出して音色別に整理してあります。今度はこちらを入れ込みます。



パイプを1本1本、入れる場所を間違わないように丁寧に入れ込んでいきます。金属パイプは錫と鉛の合金で、ハンダとほぼ同じ素材なので大変柔らかく、扱いは慎重に慎重に。



正面のパイプは特別に丁寧に仕上げてありますので、手袋をはめて入れ込みも慎重に行います。



最終工程である全パイプの調律も完了しました。新しい礼拝堂にとてもよく馴染んでいます。



新しい教会の奥は新しいオフィスタワー。オルガンは新しい環境で再スタートを始めました。

KAWAI オルガンビルダー 西岡誠一 記




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